〈俺の中で大規模な反乱が勃発している。俺の大嫌いな色―黄色の布を頭に巻いた賊が昼夜を問わず暴れまくり、俺領土全域で非道の限りを尽くしている〉
「鎮圧してくれ!」中央から伝令がとんで、六頭の虎が各戦線に出陣。数日後、全ての戦線から「苦戦を強いられている」との報告が届いた。中でもティーンエイジ・ファンクラブは苦戦しておるらしく、ティーンエイジ率いるノーマン将軍からは援軍を乞う密使が到着した。文にはこうあった。「我が軍、ぎりぎりにて候。直ちに援軍、願わくは新たな虎の任命とその出陣を要請す」
一憩はただちにすべての武官文官を宮中に召集し、会議を催した。
居並ぶ武官文官たちに事態の深刻さを物語ると、一憩は突如立ち上がって叫んだ。「誰か、この国家存亡の危機に際してその勇を天下に示さんと欲する者はおらんか!」
「お前行けや」「こういう時はお前ちゃうんか」ざわめく将校どもの中から「オウ!」と声がして、身の丈2Mはあるかと思われる大男二人を従えた一見浮浪者、よく見ると男前、小さな男が一憩の眼下に現れた。
「おう、誰かと思えば」
名乗り出たのは他でもない。ニルヴァーナ率いるカート・コバーン将軍、その人であった。
〈続く〉
歴史小説・散獄志(其の一)
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